12日に開幕した、全日本卓球選手権。
 
にわか卓球ファンが全国各地に溢れ、興奮した数百名の卓球ファンが、渋谷のスクランブル交差点に卓球台を置いて打ちまくり顰蹙を買うことでお馴染みの、年に一度の卓球界の大イベントであるこの大会。
今年もさっそく波乱あり快挙ありで盛り上がっている。
 
男子ダブルスで期待のかかるカットマンペア、塩野/村松が初戦(2回戦)で敗退し、混合ダブルスでは前回王者の張/森薗ペアが2回戦で敗退した。
実力者が早々に姿を消してしまうことは残念ではあるが、格下が大物を食うというのも卓球の醍醐味のひとつである。

そして本日も、注目選手や話題の選手が大会を大いに賑やかしている。

●大会最年少(小学4年生)で快進撃を続けていた木原美悠が、ジュニア4回戦で敗れる。
会見で木原は「来年は3位には入りたい」と来年の目標を語ったという。

●男子最年少の張本智和(仙台ジュニアクラブ・11歳)がフルゲームの末に愛工大名電高の松山を下しジュニア8強入りを決めた。
準々決勝ではインターハイ2位の及川に一歩及ばなかったが、一般的な小学生がただただ妖怪体操に夢中になっていることを考えれば、小学5年生でジュニア8強入りは立派である。

●現役引退を表明している元日本代表の福岡春菜が初戦を突破。ベンチ入りした四天王寺中学・高校時代の恩師・作馬六郎氏と笑顔で握手をかわす。
世界を翻弄した変幻自在の王子サーブで、本大会でも相手選手と観客をこれでもかと幻惑させてもらいたい。
 
さらにこんな注目選手もいた。
昨年の全日本マスターズ・フォーティ(40代)のチャンプ・西村雅裕選手だ。
国立の東北大卒で、学生時代に目立った戦績はないが、社会人になってから単複とも全日本に何度も出場しているおじさんファイターである。

「マスターズ40代で優勝して、東京選手権の年代別の予選が免除になったので、プラボール対策にはある程度時間は取れました。でもまだドライブの時にラケットの縁に当てたりしている。もう少し時間が必要ですね。ただ、回りの方々はセルロイドボールの試合がある中で、年末年始とプラスチックボールでの練習に協力してもらった。そのおかげで今大会はある程度やれたと思います」
 
チキータを取り入れることでサービスの長短に関係なく、攻撃的なレシーブができるようになり、確実に勝率が上がったという西村。「若い選手たちのプレーはものすごく参考になりますね。体力のない40代の選手でも、取り入れられる技術はどんどん取り入れていきたい。昔の技術にこだわらずにチャレンジしていきたいです」と勝利に対してまだまだどん欲なところを見せた。


西村選手は、1月発売の卓球王国3月号に掲載される「Another Story」の主役らしい。原稿は伊藤条太さんが担当するとのことで、これは要チェックである。


なんだかんだある全日本だが、一番の衝撃は福原愛の欠場である。
腰の故障が原因だというが、アジア競技大会の団体決勝で中国の丁寧を破るなど、その好調ぶりに、全日本チャンプ返り咲きへの期待が高まっていただけに残念で仕方がない。
一日も早い復帰を願う。