さて、今日は全国的に猛暑で、東京でも嫌がらせのような暑さだったけれども、この暑さでふと昔のことを思い出した。

私の高校は卓球部の専用の練習場があったんだけど、天井がかなり低かったんで夏場は強烈に暑かった。
よくあんな地獄のような場所で練習してたもんだと我ながら感心する。

夏場が地獄と化すのが目に見えているのになぜあんな練習場を作ったのか、実に不思議である。
3年間その環境で練習することを考えると、入りたい学校の練習場の天井が低いかどうか、入学前にチェックしておくことをおすすめする。

ここで「天井が低い卓球場あるある」をひとつ。

投げ上げサーブをすると天井に当たる


では、本題に入る。

今日は久しぶりに卓球関係の書籍を紹介しようと思う。

当ブログではいくつか卓球書籍を紹介してきたが、今回は初のフィクションである。

それがコチラ

ふぁいと!卓球部
横沢 彰
新日本出版社
2011-04


小説なんだけど、いわゆる児童文学というやつで、188頁しかなく文字も小さくないのでさらりと読める。
本を読むのが苦手という人でも苦労なく読めるはずですよ。

この物語はシリーズもので、『ふぁいと!卓球部』はその第一弾である。
私が調べたところでは、昨年発表の『あしたへジャンプ!卓球部』まで、全8作品出版されている。

児童文学でシリーズもの、つまりハリーポッターやズッコケ三人組と同じってことだね。


この物語は、中学校に入学したばかりの飛山拓が、卓球部員の強引な勧誘により卓球部に入部するところから始まる。
部員は3年生ふたりと2年生ひとりだけ。そこにもうひとり1年生が加わって全部で5人。

そんなスーパー弱小卓球部の練習場所はなんと「体育館のステージ脇の倉庫」。
女子卓球部は体育館でしっかりと練習しているが、男子卓球部は薄暗い倉庫の中で練習に励んでいるというなんともせつないこの設定にいきなり私はキュンときてしまった。

ある日、「体育館を使わせてもらえる権利」をかけて女子卓球部と練習試合をすることになる。
勝てば倉庫から抜け出し、晴れて体育館で活動できるというわけで、対決に向けて練習に励もうとするが、倉庫は不良生徒たちのたまり場になっており、邪魔されてまともな練習ができない。

女子卓球部との勝負の前に、倉庫を使う権利をかけて不良生徒と卓球対決となったが、なんと敗れてしまうのだ。
倉庫を追い出され、次にダメ男子卓球部が練習場所に選んだのは・・・「ステージの上」だった。

短い作品なのであまり説明するとほとんど内容がわかってしまうのでこのへんでやめておくね。

本作品は、時にはぶつかり合い、時には励まし合う、なんとも甘じょっぱい王道の青春物語だ。
おもしろ要素は満載だが、中学生卓球部員の生態が実にリアルに描写されていて、学生時代卓球部員だった人はあの頃の自分と重ね合わせて懐かしさにむせぶはずである。

不良生徒にラケットを貸せと言われ、ビビリながらもラバーを張り替えたばかりだから貸したくないと拒むシーンなんて、グサリと心に突き刺さった。同じ経験をしたことがある人もけっこういるのではないだろうか。

シリーズものと言っても、大抵はその巻でひとつの大きな話は完結するものだが、本書はメインストーリーの決着がついておらず、続きが気になって仕方がない。
他にも人間関係の謎や秘密の匂わせ方も巧みで、これはシリーズを通して読まなきゃいかんな、と読者に思わせるニクイ作品と言える。

そう、つまり私は、シリーズ2作目の『どんまい!卓球部』をまんまと取り寄せてしまったというわけだ。

そんなわけで、卓球部でなかった人でも楽しめる作品ですので、よかったらお手に取ってみてはどうだろうか。

そして小学生のお子さんをお持ちの方はぜひ勧めてあげてくださいませ。
夏休みの読書感想文も書けて卓球にも興味を持ってもらえる。一石二鳥ではありませんか。

てなわけで、本日はこのへんで。

来週は『どんまい!卓球部』の感想をアップする予定でおります。