今月号の目玉企画はこのふたつ。

世界王者を徹底分析 女王丁寧 「女王の独白」

丁寧の技 女王に学ぶ「左腕必勝法」


先月号の馬龍特集に続いて、今回は世界チャンピオン・丁寧の特集だ。
技術紹介やインタビューで構成されているこの特集は当然めちゃ面白かったのであるが、私が最も興奮した企画が他にあったのだ。

❝中国のカリスマ 劉国梁  インタビュー❞

私が最も好きな卓球選手で現中国代表監督である劉国梁のがっつりインタビューなのだよ奥さん!

これは貴重。大興奮。

現役時代は「ペン表ソフト速攻型+裏面打法」というミラクルな戦型で世界の頂点に立ち、2002年に26歳という若さで引退。その後すぐに国家チームのコーチに就任し、現在は総監督として力を発揮している中国卓球界のカリスマ。
そんな劉国梁監督が、監督としての軌跡、監督業の難しさ、コーチング術、これからの卓球界についてなど、様々な質問に答えている。

世界卓球などを見ていると、中国選手は劉国梁監督の厳しいアドバイスを、反抗的な態度も取らずに直立不動で聞いている。それはチームの統率が取れており、きちんとチーム管理ができている証であると言える。

果たしてその秘訣は何なのであろうか?

  まず考えるのはアドバイスのタイミングです。常に選手の内心、心の中を観察しなければいけない。それも心理的な駆け引きですね。いつどこで選手が何をしようとしているのかを理解し、良い時にはほめ、悪い時はすぐにストップをかけて叱らなければいけない。
  みんなが見て、すぐにわかるようなことを私が繰り返し言っても意味はない。誰もわからなくて、本人もまだ気づいていないことを言ってあげる。「そんなところを見るのか、そこに気づくのか」という部分を指摘すれば、説得力があるし、本人もビビってしまうんじゃないですか。
  監督というのは威信、つまり威厳と信望を持たなければいけません。指導者としての自分のスタイルを、1年、2年、もしくは4年くらいかかっても選手に伝えなければいけないのです。そのやり方が選手にとってもプラスになることを、指導法や普段の自分の言動を通して選手にひとつの形として示すことが必要です。


❝「そんなところを見るのか、そこに気づくのか」という部分を指摘すれば、説得力があるし、本人もビビってしまうんじゃないですか。❞

なるほど、「この人すげぇな」って思わせるってことだね。


先日の記事にも書いたが、元全日本監督の高島規郎さんも「ベンチコーチはどうやって励ますのかと言えば、それは言葉の魔力しかない。ひと言で、選手に「わあ、まいった」と思わせるような殺し文句をいかにたくさん持っているか。」と言っている。

名監督・名コーチになるには「選手を驚かせるアドバイス力」つまり、「誰も気づかないところを指摘できる能力」が必要ということなんだろうね。


また、中国卓球の強さの秘密については、こう語っている。

  中国の強さの秘密のひとつは常に分析し、常に最高のものを求め、新しいスタイルを求めていく姿勢です。誰かの真似をしていても新しいものは出てこない。

卓球史上最も個性的なプレーヤー(私の中で)が言うと説得力が違うね。


そして劉国梁監督は最後に「あなたにとって指導哲学とは何ですか?」と問われ、こう答える。


満足しないこと。常に挑戦すること、そして、新しいものを求めていくことです。完全なものはない。でも完全に近いものはあるから、そこを求めていくのです。


ええこと言うわ!

"完全に近いもの"はあるんだってさ、同志。それを求めて頑張るしかないですね。



そして今月号のもうひとつの注目企画がコチラ

❝進化するチキータ vol.3 上田仁❞


トップ選手がチキータの極意を語る人気企画の第3回は、協和発酵キリンの上田仁選手。

この記事の中で上田選手は、チキータの練習法として「一人練習」を挙げている。

(前略)
最初なかなかうまくチキータができない時によく行った練習が、自分で台にボールを落として打つ、という一人での練習法です。これでまずはチキータのスイングと回転をかける感覚を覚えてから、多球練習などで飛んでくるボールに対する打球練習をするようにしました。この一人練習は、打球感覚が良くない時に今でも時々行います。


「一人練習でチキータの感覚を覚える」

これは意外に皆さんやっていない練習法ではなかろうか。
私も現役の頃にこの一人練習をよくやっていた(練習相手がいない時に)。
ツッツキ打ちや台上フリックの感覚を覚えるのに役立ったと記憶しているが、確かにチキータの練習にはもってこいの練習法だ。
 
しかも上田選手が今でも時々行っているということは、上級者であっても、調子が良くない時などに取り入れてみてもいいかもしれないよね(チキータに限らず)。

また上田選手は、チキータの上達法として、「バックへのロングサービス対策」をしようとも述べている。

  チキータを習得していくうえで、同時に練習しておきたいのが、試合でもよく狙われるバックへの長いサービスに対するレシーブです。特に身につけたいのがストレートへのバックドライブで、相手としてはバッククロスへの返球を待っていることが多いので、ストレートに打つことで相手の待ちをはずすことができます。
  ロングサービス対策として、相手にフォア前とバック深くにランダムにサービスを出してもらう練習は、私自身もよく行う練習のひとつです。


ということで、ここではちょっこし抜粋しただけなので、上田選手のチキータの極意を残らず吸収したいという方は、卓球王国をチェックされたし!


ではではまた。