先日、福原愛選手の専属のフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さんの記事をたまたま読んだ。

 
中野さんのことは存じ上げなかったのであるが、何だか興味が湧いたので中野さんの著書をチェックしてみたら何十冊もあって、その中からタイトルを見て面白そうだなと思った本を読んでみた。

それが『はじめる技術 続ける技術 一流アスリートに学ぶ成功法則』 である。


はじめる技術 続ける技術 一流アスリートに学ぶ成功法則




簡単に言うと、多くのアスリートたちを一流選手へと導いた、中野さん直伝のモチベーションテクニックや、「やり遂げる力」を手に入れる方法を紹介している本である。

といっても、一流アスリート向けに書かれた本ではなく、ごく普通の一般人がその方法を応用して目標を達成するために書かれた本である。


ここでは、本書全体の感想ではなく、私が最も興味深く読んだ一ヵ所だけを取り上げたいと思う。

それは、「途中でやめずに長く続ける方法」について。


ダイエットでもランニングでも、人は何かをやり始めたとしても、ついついサボってしまう。
それが何度か続くと「自分は意思が弱い。なんてダメな人間なんだ」となって、続けられなくなってしまう。

誰でもこうした経験はあると思うが、何かをやり続けるということはなかなか大変である。


中野さんが推奨するのは、「ゼロかイチか」ではなく、「中間の0.5を作る」という方法。

これからやろうとしているプログラムのハードルを、ひとつだけではなく、「高い台と低い台の両方を用意しておく」ということ。

 たとえば、毎日、資料を何ページ分か読まなければいけないとします。そのとき、一日、100ページと決めたとします。でも、ある日、100ページまでいかなくて、80ページまでしか読めなかったとします。
 すると、「サボってしまった、ダメだな」と思ってしまいがちです。
 ところが、50ページ読む日と100ページ読む日の二つのパターンを決めておけば、あまり読みたくないけれど、50ページだったらいけるかもしれないということで、低い目標のほうを実行すれば、半分にしろ、階段の一つを上ることができます。
 公開することもありません。
「ゼロか、イチか」ではなくて、その中間の0.5があってもいいわけです。


今日はどちらならやれるかを考えて取り組み、たとえ低いほうでもクリアできれば、次に進んでいくことができる、というわけだ。

ランニングやダイエットを続けられない人の多くは、「やる」か「やらない」かのどちらしかなく、たまにやらなかった場合に「ああ、ダメな私」と決めつけてしまいがち。

そうではなく、ランニングであれば、Aの「5キロ走る」パターンと、Bの「2キロ走る」の2つのパターンを用意するということ。そのどちらかをやればいいのである。

 続けられない人、燃え尽き症候群になってしまう選手のほとんどは0か1で、しかも、1がすごく高い。1よりも2になってしまっていて、何年も0か2かでやっています。
 モチベーションのレベルが高い人は、2ができなくなってきても、1のレベルには戻りたがりません。レベルを下げることに抵抗を感じてしまうからです。
 そうすると、結局は2を続けられなくなって、完全にやめてしまうことになります。
 ですから、いま2に近いような高い階段を上っているとしたら、少し下げる勇気をもたないと、続けることができなくなる可能性があります。


この方法はアスリートだけに当てはまるものではなく、日常生活のあらゆることに応用できる。

本書の中では、この方法によって生活習慣を変えた人の事例を紹介している。

ずっと夜型で不規則な生活をしてきたAさんは、健康に気を遣う年齢になったので、「朝型に変えたい」と思い立った。

聞けばAさんは朝の5時に起きるようにしたという。

これでは階段が1どころではなく、2か3のレベルなので、最初のうちはいいが、どこかで必ず挫折するだろうと予想した中野さんは、5時に起きる日と、8時に起きる日と、2つのパターンを作ることを提案したという。

2つの目覚まし時計を用意して、ひとつは5時、もうひとつは8時に鳴るようにセットしておいて、寝る前に翌日はどちらにするか決める、という方法である。

「明日は5時に起きるのが嫌だな」と思う日が来たら、8時のほうをセットして寝ればいいわけである。

アスリートだろうが一般人だろうが、このやり方は使える。

大事なのは、とにかく続けること。
「続けている」という実感がモチベーションを上げ、気持ちを前向きにさせるのである。



私も学生時代、「フォアとバックの素振りを毎日100回ずつやろう」と決めて取り組み始めてみたものの、すぐに面倒くさくなってやめてしまった経験がある。
また、「卓球日誌を毎日書こう」と決意して始めてみたが、これも三日坊主で終わった。

この時にもし「0.5」を作っておけば、続けられたかもしれない。

素振りであれば、Aの「フォアとバック100回ずつ」と、Bの「30回ずつ」の2パターン。
卓球日誌であれば、Aの「いろんなことを細かく書く」と、Bの「今日やった練習内容だけを書く」の2パターン。

たとえBパターンを選択したとしても達成感を得ることができ、「明日はAパターンをやろう」と、気持ちが前向きになって、ずっと続けることができたかもしれない。

ということで、何かを続けようとしても三日坊主になってしまう人は、「ハードルを2つ作ってみる」という方法を試してみるといいかもしれない。



ところで、続けられないものと言えば、「ブログ」も途中でやめてしまう人が多い。

「書くネタがない」という悩みにぶつかり、更新頻度が下がり、やる気が失せてやめてしまう、というパターンが多いようである。

私のブログもそうだが、「〇〇ブログ」のように、特化型のブログを書いている人は、メインテーマ以外のことを書かない人もいる。

でもそれだとネタがなくなって、「今日は書くことがない!」と悩んでしまう日がくる。
しかし、自分が他に興味を持っているものについて書く日があればどうだろう。

「ブログのメインテーマについて書く」 「趣味のことを書く」という2つのパターンを用意して、どちらかを選んで書いていけば、ネタに困ることもなく、楽しく続けられるわけである。


私のブログは今のところ卓球のことしか書いていないが、ある日突然、「今日は浅草に寄席を見に行って来たよ。やっぱり、柳亭市馬さんの昭和歌謡を取り入れた落語は最高だね」なんて記事が投稿されたら、「ああ、Bパターンを作ったんだな」と察していただきたい。