今月号も1ページずつ噛みしめながら読みました。
12月号の目玉特集はコチラ

卓球の神に愛された三人娘
インタビュー 石川佳純/福原愛/伊藤美誠/村上恭和監督


今月号の目玉は、リオ五輪代表選手&監督へのインタビューの女子編である。

1人ひとりにじっくりインタビューした、実にボリューミーな内容となっており、それぞれが抱えていたプレッシャーや苦悩、そして卓球に対する思いがひしひしと伝わってくる。

中でも興味深かったのは、村上監督のインタビューである。

――最後のミックスゾーンで「これが最後のオリンピック」とコメントしていますね。いつ代表監督をやめることを決めたのですか?
村上   1年半前の世界選手権蘇州大会の選手選考でもめた時です。やはり有力な母体チームを持っている人が代表監督をやってはダメだと思いました。ルールどおり選んでいても、日本生命の監督だからと言われてしまう。それはぼくじゃなくても、そういう立場の人なら言われてしまう。
   その時に協会幹部の方にリオを最後にしますと言いました。「次の人は代表監督に専任できる人がいい。そうでないと苦労しますよ」と伝えました。

   これから今後のオリンピックで中国に肩を並べようと思ったら、専任の監督を置くべきだし、今までのやり方では選手に対する関わりが不足している。ぼくは遠慮してましたからね。担当コーチ制を敷いてふだんの練習は担当コーチに任せているし、愛も佳純もぼくが日本生命の監督だと思っているし、実際に日本リーグで日立化成の佳純と戦うこともあるから、ちょっと入り込みにくい。そういうのをなしにしないと中国と対抗できる組織にはならない。


「愛も佳純もぼくが日本生命の監督だと思っているし」という言葉はなんだか切ないですね。

確かにオリンピックの放送を観ていても、村上監督はちょっと遠慮しているように見えた。

卓球女子代表は、試合をしている選手へのアドバイスを、監督とその他の選手がベンチで話し合うという、他のスポーツではなかなか見られないことが行われており、それが卓球女子代表の良さにもなっている。

がしかし、村上監督が言うように、もっと普段から選手に関わり、試合の時にも、監督が中心となってアドバイスを送り、何の遠慮もなくグイグイとチームを引っ張っていく方がいいのかもしれない。

村上監督も期待を寄せている新任の馬場美香監督には、そうした問題もクリアし、新たな監督像を見せてくれることを期待したい。



そして今月号の注目企画はコチラだ

日本最強のサービスマジシャンが明かす
脅威のデスサービス

「デスサービス」とはなんとも強烈なネーミングであるが、のっけから惹かれるではないか。

どなたが教えてくれるのかというと、町田幸希選手である。

おや? このお方はいったい……。

町田選手は、今年の4月からNTT東日本に勤務する22歳。
全日本実業団選手権にもチームの主力として出場し、15年全日本男子複ベスト32という実績を持つ。

全国的には有名な選手ではないが、日本一とも言われるサービステクニックでその名を知られている、サービスのスペシャリストだという。

戦型は、右シェーク裏表“サービス特化”型。


町田選手のサービスについて、町飛鳥選手(明治大)は「2本に1本返せればいい…」と言い、小野竜也選手(協和発酵キリン)は「仲村錦治郎さんの神サービスと同じくらいの衝撃」と語る。

平野早矢香さんなど、日本のトップ選手にもサービスを教えることもあるそうで、まさにサービスだけなら世界レベルという選手なのだとか。

そんな町田選手が、現役プレーヤーでありながら、その「デスサービス」の秘密の一部を特別に披露する、という内容の企画である。


いくつかのフェイクサービスを紹介しているが、ここでは、「下回転に見える上回転サービス」の出し方のポイントをちょっこし抜粋します。

07B3J5H9


   全体的には振り下ろしているように見えますが、実はインパクトが小さくヘッドを上げて上回転をかけています。左の写真はボールを打たずにゆっくりとスイングしたものですが、②と③にかけてヘッドが微妙に上向きになっているのがわかると思います。この動きで上回転をかけているのです。
   わかりにくくするためには、ヘッドを上げる動きをできる限り小さくすることが大切で、打球前にヘッドをやや下向きにしておくと、打つ時にヘッドが使いやすくなります。
   さらにバックスイングでのラケットの位置をトスよりも高くして大きく振り下ろしたり、打球後にすくい上げるようなフォロースルーを入れることで、フェイクの効果が高まります。
(後略)
(文中の「左の写真」というのは上に貼り付けた写真のことです)

「ボールと一緒に振り下ろし、ラケットとボールが出合うところで回転をかけるというタイミングが重要」とのこと。


VN21THGX
                       ↓
AO8JY9TV


他にも“デスサービス習得のコツ”や、町田選手が「あまり言いたくはないですが……」と渋りながらも教えてくれたという“デスサービスのさらなる真髄”なども掲載されている。

現役選手なので、技術の全貌を明かすことはしていないようだが、これだけでも十分にデスサービスをマスターするヒントが得られると思う。


また、卓球王国WEBでデスサービスの動画が公開されており、スーパースロー映像で細かい動きのチェックもできる。
さらに王国スタッフの『デスサービスを取ってみた』というのもあり(レシーブミス連発)、こちらも必見である。



【注目企画 その2】

そして、今月号のもうひとつの注目企画はコチラ

トレ球 徹底解剖!


ボールの素材がプラスチックになり、価格が高騰。
品質も徐々に安定してきてはいるが、メーカー間で大きな違いがある。

多くの学校やクラブチームでは、3スターではなく、価格が安いトレ球(トレーニングボール)を使っているのが現状だが、効率良く練習するために、試合に活きる技術を身につけるために、一体どのトレ球を選べば良いのか?

この企画では、各メーカーイチオシのトレ球10種類を、初~中級の中学生、高校生、レディース、そして大学生トップレベルに試打を実施。
選手のコメントでボールの質や性能を分析する、という企画である。

選手のコメントの他に、「選球ブレチェック」という評価項目があり、ランダムに10球を選球(ボールに回転を与え、ブレがないかを調べる)し、各ボールのブレ具合を調査して5段階で評価している。
(選球は、中央大の団体戦で選球を任されている和田貴稀選手が担当)。

また、1球あたりの価格も記載されているので、コメントと価格を比較しながら、どのメーカーのトレ球が良いのかを考えるといいだろう。

トレ球問題で頭を悩ませている方には必読の企画だと思います。


それにしても、プラボールのトレ球って1球100円くらいなんだね。

セルボール世代の私からすると、信じられないくらい高い。

これでは予算の少ないチームは大変である。
「踏んづけて割れちゃった、あはは」では済まされない。


はるか昔「象が踏んでも壊れない筆箱」という大ヒット商品があったが、各卓球メーカーさんにはぜひとも「象が踏んでも割れないトレ球」の開発を急いでほしい。